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2019年3月10日日曜日

尾崎放哉賞について




青穂が主催している「尾崎放哉賞」ですが、入賞作品が決定しました!


本当にたくさんのご応募、ありがとうございました。


表彰式は、6月に、岡山にて行います。
青穂の大会と同時に行うのですが、その際、住宅顕信の俳句仲間であった方であり彼を世に知らしめるのに貢献された池畑秀一先生(元岡山大学教授で、今は特任教授)の講演があります。
入賞の方、またご興味のある方は、ご予定ください。
詳細は、またこのブログでお知らせいたします。


(文:黒崎渓水)

2019年2月24日日曜日

俳句アンソロジー






















現代俳句協会青年部編
「新興俳句アンソロジー」をところどころ拾い読み。
自由律関連では、
栗林一石路、橋本夢道、吉岡禅寺洞。

アンソロジーというと、
俳句を書き始めた頃に出会った
・川名大「現代俳句」、
・清水哲男「増殖する俳句歳時記」
(言わずもがなかも知れませんが、ネットでも読めます。ここ。)
俳句が実は面白いものだと気付いた
・中村裕「俳句鑑賞450番勝負」
たぶん阿部青鞋の句に初めて出会ったのはここではないかと思われる
・冨田拓也 俳人ファイル
(確か俳句空間か豈Weekly)

あたりが、思い出されます。
もっと著名な俳人のものも数冊読みましたが、
何が面白いのかピンと来ない。
私には合わなかったのでしょう。


栗林一石路の章(相子智恵選)からいくつか引きます。

死ぬ日近きに弟よ銭のこといえり
シャツ雑草にぶっかけておく
どれにも日本が正しくて夕刊がぱたぱたたたまれていく
娘よひきあげろ働いた金だぞふんだくってでも来(こ)うよ
なにもかも月もひん曲がってけつかる
どっと笑いしがわれには病める母ありけり


最後に、「シャツ」の句に関する清水哲男氏の至言を。上記の「俳句歳時記」から。

戦前のプロレタリア俳句運動の代表句として知られるこの一句は、現在にいたるもその訴求力を失ってはいない。これが俳句だろうかだとか、ましてや無季がどうしたのとかいう議論の次元をはるかに越えて、この力強く簡潔な「詩」に圧倒されない人はいないだろう。そして詩とは、本来こうあるべきものなのだ。根底に詩があれば、それが俳句だろうと和歌だろうと、その他の何であろうが構いはしないのである。くどいようだが、俳句や和歌のために詩はあるのではない。逆である。


***


さきごろ詩人の入澤康夫さんが亡くなりました。
失礼ながら、特に積極的に読んだ詩人ではないのですが、
それでも、「キラキラヒカル」など(詩集「倖せそれとも不倖せ」)は
覚えています。

感情を排して「物語詩」「叙事詩」を書こうとした方だったと思っています。

(文:久坂夕爾)

2019年2月12日火曜日

住宅顕信「未完成」英訳


twitterで知ったのですが、
住宅顕信の句集「未完成」を英訳されている方がいるようです。
津山高専の教員の方のようです。

興味のある方は読んでみてください。

http://repository.tsuyama-ct.ac.jp/metadata/228

http://repository.tsuyama-ct.ac.jp/metadata/218


映画「ずぶぬれて犬ころ」も岡山映画祭での上映が終り、
今年はどこかのミニシアターで公開されるのではないでしょうか。

「ずぶぬれて犬ころ」公式twitterアカウント
映画の予告編も見ることができます。
https://twitter.com/zubuinu

(文:久坂夕爾)

尾崎放哉賞について


青穂が主催している「尾崎放哉賞」ですが、選考が進んでいます。
皆さまから頂いた魂のこもった作品たち、選者一同、とてもとても、頭を悩ませています。

3月に入りましたら、入賞作品を発表できると思います。
もうしばらく、お待ちください。

(文:黒崎渓水)

2019年2月11日月曜日

青穂29号


 青穂29号が発行されました

左は住宅謙信の色紙

「夕が冷たい音落した」
青穂抄、今回の選者は高橋恒良




















他、
・青穂の窓 吉多紀彦
・一句鑑賞、句会報
・内田サヨ、小坂みゆき 追悼 遺句抄
エッセイ
・放哉を訪ねて 大連その1 小山貴子
・きまぐれ写俳日記(25) きむらけんじ


内田サヨ様、小坂みゆき様のご冥福をお祈りいたします

ピンクの帽子春風に押されペダルが軽い 内田サヨ
青い柿の実ポトンと落ちて一生 
静かな日々をあつめて山栗落ちる    小坂みゆき
開拓の挽臼に光さす冬の庭


※敬称略


2019年1月29日火曜日

飯島翠壺洞句抄

昭和50年代に数年間だけ、
自由律俳句誌「層雲」に登場し亡くなった飯島翠壺洞

長野県長野市で、別名にて評論誌に参画していたことくらいしか
足跡をたどれませんでした。
山頭火が出発点ながら、
その影響を脱した句の暗い象徴性、幻想風景は印象的です。

こういう自由律俳句が(もっと)あってもいいと思うのですが。


美しいけもの罠に陥ち枯野雪ふる
月夜の海がけものの骨あらっている
鬼面つければ暗い湖底の音が聞こえる
塚累々ひとの墓うまの墓ちょうの墓
空の静けさがもう夜を溜めはじめた
私の内なる丘の上の春露に蒼き鹿立てり
春の夜の原野にひとり鳴る警報機

甲虫仰向けに落ちて軋む山の深緑
氷水の赤い唾吐きまた炎天を歩き出す
海峡を渡る鷹の一瞥雑魚とる舟に投げた
貧しい酒場を出ると瓦礫の迷路だった
駅裏の屋並が星の植民地になっている
どの石も虫の声ある石
疲れ果てて魚臭い町に着いた
物干しに蛸寒々と揺れている薬局
薄幸なやつが逝った安らぎに似た悲しみ

※昭和50年代の「層雲」よりピックアップ

(文:久坂夕爾)


2019年1月26日土曜日

きやらぼく若手作家競詠


自由律俳句誌「きやらぼく」新年号特集にて、
若手作家競詠。

寄稿者は、
日下部直起
本間とろ
久坂夕爾
正木かおる
若木はるか
月野ぽぽな
松尾貴
杉本ゆきこ
馬場古戸暢

ありがたいことに、私も寄稿させていただいています。
少しだけ作品を紹介します。

水の音だった鍵盤からこぼれる     日下部直起
街を化け物のように見上げる      本間とろ(青穂同人)
缶詰に身の脂、あ、あ、あ、あふれて  久坂夕爾(青穂同人)
雪だるまひとつ置いて本日休業     正木かおる
電波塔は鳥籠 閉じこめ放つ幾億のうた 若木はるか
ともだちの手紙の字風邪ひいている   月野ぽぽな
立ち止まっても流されている      松尾貴
擦りきれた夢捨てるシマウマ海岸    杉本ゆきこ
夜が近づくにおいと帰る        馬場古戸暢


きやらぼくは鳥取の自由律俳句誌
発行後にバックナンバー(PDF)としてサイトにアップされます。

http://kyaraboku.blogspot.com/


作者自身の情動をストレートに感じさせる、若木・松尾・馬場氏に対し、
月野・本間氏はひと呼吸おいて自分を見つめているように思えます。

自然(外界)を表現しようとする方では、
印象主義的な日下部氏や、私(久坂)など。

是非、上記きやらぼくのサイトで、ご覧ください。


(文:久坂夕爾)


2019年1月10日木曜日

第2回尾崎放哉賞の選考始まる!

たくさんのご応募、ありがとうございました。11月30日に締め切り、整理が終了、
一般の部・高校生の部合わせて、1500句以上の珠玉の句が集まりました。



これから選句です。
皆さまの魂のこもった作品です。

読む方も、相当な気合い!を入れなければなりません。
現在、選者(と言ってもそれほど偉くはありません。放哉のことを一途に思う青穂のメンバーです)が真ごころ込めて、一生懸命、一句一句を凝視しています。
句を寄せていただいた皆さん、本当にありがとうございました。



概要、および今後は、こんな感じです・・・。

一般の部

尾崎放哉大賞1名・・・賞状と賞金 10万円
優秀賞5名・・・・・・賞状と賞金 1万円
入賞10名・・・・・・賞状とクオカード 3千円分

高校生の部

最優秀賞1名・・・・・賞状とクオカード 5千円分
優秀賞10名・・・・・賞状とクオカード2千円分
特別賞5名・・・・・・愛媛県愛南町特産品(俳人 夏井いつき氏の出身地 愛南町よりご提供いただきました)


表彰式:

2019年 6月 1日(土) 場所:岡山市(青穂大会)にて


詳しくはHPをご覧ください。


www.hosai-seiho.net/


(文:黒崎渓水)


2018年12月28日金曜日

種田山頭火賞など



現代詩手帖12月号(現代詩年鑑)の俳句時評に、
外山一機氏による夏石番矢「山頭火俳句集」(岩波書店)の紹介が載っていました。
手帖のほかにも、この著作の紹介を見たことがあるのですが、
作句年代順に整理されている、日記の抜粋から思想背景にも十分触れていることなど、
かなりの労作のようです。

個人的には、山頭火は情緒が前面に出ていて、好みではなく敬遠することも多いのですが(ごめんなさい)。


山頭火といえば、少し前にこんなニュースもありました。

春陽堂主催の種田山頭火賞に俳優の麿赤兒さん

「偉大な凡人・山頭火の名を冠した賞を文学再興の起爆剤に」
 (春陽堂書店編集顧問の岡崎成美氏)
「序列や権威とは無縁に己の道を貫くことで、独自の立ち位置を築いた人をたたえる賞」
 (審査員:国文学者の林望氏)


春陽堂は山頭火関連の書籍を多く出している出版社のようで、
上野のムンク展に行こうかと思いながら、なかなか腰が重
(文:久坂)


「偉大な凡人」「独自の立ち位置」というキーワードが、
山頭火や自由律俳句を象徴していて、目に留まったニュースでした。

https://www.asahi.com/articles/ASL9365MBL93UCFI00L.html

上野のムンク展に行こうかと思いながら、腰が重くダラダラしていたある日、
届いた俳句同人誌「鬣」の特集は「自由律の根拠」。
林桂「井泉水は印象律と言っている」
西躰かずよし「くりかえしのそのあとで」
佐藤清美「橋を架けた人」
の三本の論考を読む。

それにしても「詩と俳句が同じ空気のなかにあった」という「層雲」創刊時のことは、なんだか隔世の感がありますね。

『句会などにおける競技性とエンターテイメント性の発達は、俳句における単一の規範を、むしろ強める方向に働くのではないか。』
自由律俳句の実作者である西躰かずよし氏はこんなことを書いていて、なかなか思うところがあります。

(文:久坂)


2018年12月19日水曜日



山頭火ふるさと館でのイベント
http://hofu-santoka.jp/event-event.html
今月末投句締切の自由律俳句大会もあります。

東京都荒川区の自由律俳句講座
https://arakawa-story.com/?p=1075

山口市小郡文化資料館
http://cmogori.ec-net.jp/index.html


2018年12月15日土曜日

青穂28号

青穂28号が発行されました。

 28号表紙








青穂抄。今回の選は高鳥城山。









青穂の窓(役員による一句鑑賞)は佐瀬広隆。
私の感銘句、同人による一句鑑賞、句会報、
きむらけんじ連載エッセイ「きまぐれ写俳日記24」など。

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※敬称略

※あらためてページ説明
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(文:久坂)



2018年11月25日日曜日

先日、YouTubeを漁っていたところ、

先日、YouTubeを漁っていたところ、「WE ARE THE ひとり」というのに行き着きました。「ひとりがすき」というテーマを、カジヒデキ、岡村靖幸、MAX、高橋真麻、DJ KOOなど、割と豪華な顔ぶれがワンフレーズずつ歌う、というものなのですが、突然、尾崎放哉の句が出てきました。「尾崎放哉もうまいことをいってたよね。咳をしても一人」。ポップスのかるーい曲調の中に唐突に出てきましたので驚きましたが、うれしさがこみ上げていました。私たち自由律俳句の愛好者たちは、とかく少数性に酔ってしまって、世間が自由律俳句をわかるわけがない、と時に勝手に自虐してしまうのですが、いや待てよ、知ってる人は知ってるし、それほど自虐することもないのじゃないか、と思わせてくれる曲でした。それにしても、これを聞いた人のほとんどが、「尾崎放哉って、何?」と全然わからなかったのではないでしょうか?皆さんも、是非聞いてみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=vQu5YEEyBTY

(文:黒崎)

2018年11月10日土曜日

青穂第一句集(後半)


青穂第一句集より(後半)


あの角を曲がった赤い傘はうちの孫     塩地キミヱ
古布を並べて虹色の海へ迷いこむ      重富佐代子
他人のごとくふとん畳んで帰って行く    島田茶々
本当は口説かれるまでが好きなだけ     杉森久美子
餅ついてまず牛に食わした         鈴木しのぶ
五人でやってる草野球もう夕暮れだよ    鈴木憲
沈黙の口の中にも砂粒入る         そねだゆ
雪の夜みえない人がしんしんと来る     高木架京
でも可愛い妻だ眼鏡拭いてくれる      高鳥城山
顔がお面になって夕涼み          高橋恒良
寺巡る旅路の果ての遠霞          高村昌慶
何の石なるか路傍の石           田中昭雄
うたたねの夢を覗く退屈な雲        谷田越子
爪切って音が冬              田畑剛
キャベツの芯です女です          ちばつゆこ
誉めてもらいたくて笑ってみる       中川昌子
今はただ暦の絵に音重ねている遠花火    中村友乙
両手につかんだイチゴで思案の子ども    西川大布団
讃美歌ひびく病院のクリスマス       錦織祥山
静かに村が老いてゆく           橋本登紀子
船が来るまで踊っていよう         久次縮酔
わたしを支える狂気あり今日も生きぬく   久光良一
八月十五日身の内で鳴るサイレン      平岡久美子
師走のショットバーでカラシニコフの話など 平山礼子
縁談のように明るいプリンがある      本間とろ
雨音の溜まる浮かれ横丁          松岡月虹舎
玩具落ちる児は机をかじる         水越雅人
ソフトファシズムひたひたとイチゴパフェ  三好利幸
壁の染みになりきってこうもり       無一
寂しさ降るそこなしの空          ゆきいちご
薬のむためだけのミルクあたためる     弓削酔魚
石の匂いをかぐ私はここにいます      𠮷田數江
遠く誕生日をしている子の灯り       吉多紀彦
手を摩りながら目の会話病室を出る     渡辺敬子
風の駅蟹の赤さぶら下げて         渡辺敏正

(文:久坂)

2018年10月23日火曜日

ずぶぬれて犬ころ


住宅顕信を描いた映画
「ずぶぬれて犬ころ」

https://motion-gallery.net/projects/kenshinproject

Twitterアカウント
https://twitter.com/zubuinu

「放哉、山頭火」と私たち

私たちの師系である荻原井泉水が創刊した「層雲」には多彩な人材が割拠していましたが、なかでも圧倒的な存在感を誇るのが尾崎放哉と種田山頭火です。後輩の私たちのなかでも、「ホウサイ、イノチ!」「サントウカ、ダイスキ!」あるいは「両方スキ!」と様々なのですが、どちらが好きか、ということを宣言するということは、大げさに言えば、自身の俳句観や人生観を宣言するようなものです。放哉・山頭火の名前を言ったあとには必ず「どうして?」と聞かれますので、単に趣味嗜好だけの話にとどまりません。一般には「動の山頭火、静の放哉」とか「大衆に根をはる山頭火、インテリ層の放哉」などともいわれますが、世間のメディアでの露出度は、山頭火の方がやや多いと思われますので、「山頭火から入って放哉を知り、結局、両方にハマる」という人が多いのではないでしょうか。そしてそのあとには、海藤抱壺や橋本夢道など、魅力的な人物が控えていますので、更なる深みにハマる可能性大!さあ、みなさんも私たちと一緒に、「深み巡り」をしませんか?

(文:黒崎)