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2024年9月23日月曜日

詩人のエッセイ

 



 詩人・俳人のエッセイをときおり読みます。詩論や俳論は、どうも空中戦(観念的)になりがちで、それはそれでいいのですが、私には詩人・俳人が日々の暮らしのなかで詩や俳句とどうつながっているのか、のほうが興味があるようです。
 ただね、世間擦れしすぎているというか、もっというとテレビのお涙ちょうだい的な経験主義的・精神主義的なものも多くて、これはこれで読んでいるとつらいものがあります。詩人・俳人がこんな感想でいいのか、と思ってしまうこともあります。

写真の3点は、左から。長田弘「幼年の色、人生の色」、小津夜景「カモメの日の読書」、小笠原鳥類「吉岡実を読め!」。最近読んだおすすめ。3点目は評論といったほうが良いかも知れませんが。


長田弘はつい先年亡くなってしまいましたが、詩人にはめずらしく(?)エッセイの文章がいいです。みすず書房から詩集やエッセイが何冊も出版されていますね。みすず書房のような(詩歌ではない)専門出版社から詩人の書くものが複数出版されているのはめずらしいのではないでしょうか。みすず書房が好きな出版社となったきっかけは、なんといっても「チーズとうじ虫 16世紀の一粉挽屋の世界像」。中世でも古代であっても、人は生きて、その暮らしと世界や宇宙や技術というものは同じ平面でつながっているのだと思い知らされたような気がするのです。

小津夜景は、このサイトを訪れるような方でしたらご存じの方も多いはず。句集『フラワーズ・カンフー』(ふらんす堂)で田中浩明賞を受賞。この句集、というよりも詩集(漢詩・短歌も収録しています)、は私も持っています。いつだったか、東京での文学フリマ(フリーマーケット)に顔を出した際、週刊俳句のブースの方に強く推されて買い求めたものです。先日ネット配信していた、芥川賞作家の吉村萬壱(「死者にこそふさわしい場所」など)との対談を見逃してしまって、惜しいことをしました。

小笠原鳥類は、現代詩の第一人者と目される方ですね。吉岡実もそうですが、ことばが先行して、しかも長い詩は基本的に好まないのですが、ただ、こういう方が詩をどう考えているか、吉岡実の詩をどう読んでいるか、はとても参考になりました。
「詩人たちはことばについてとても不勉強だ」、というのは私を含めその通りだな、と思いますね。俳人も同じく。また、「立原道造は決して『青春の詩人』(というようなカテゴリに入る詩人)などではない」「宗左近の文章はいい」という箇所は大きくうなづいてしまいました。

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第八回尾崎放哉賞募集中です!。締め切は11月30日必着。

応募お待ちしております。下記の下線部分をクリックしてください。


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(文:久坂夕爾)


2020年11月1日日曜日

ハイクノミカタ


最近、俳句に関する面白いサイトが立ち上がっています。

ハイクノミカタ

日替わりの句鑑賞の執筆陣が、なかなか魅力的。

月曜日=日下野由季
火曜日=鈴木牛後
水曜日=月野ぽぽな
木曜日=橋本直
金曜日=阪西敦子
土曜日=太田うさぎ
日曜日=小津夜景


本日の小津夜景さんの鑑賞文より印象的な個所を引用。

歴史的にいって、詩歌(韻文)をつくるとは、虚構化の作業を意味する。それゆえ詩歌のイメージは映像化できないことが少なくない。たとえば石原吉郎の作品は、現実に対応しない言葉の構造を立ち上げ、風景になりそうでならないぎりぎりの世界を描いた典型だけれど、あのイメージの内圧の高さは実体を欠くからこそに他ならない。目をとじて風景とはぐれること、何ひとつ思い起こせない状態でたたずむこと、目をあけてもそこに何もないこと   これらは詩歌を読むときの、とてつもなく深い快楽でありうる

石原吉郎作品のイメージの内圧の高さを「実態を欠く」からこそであり、
「それこそが詩歌を読むときの快楽」でありうる、
と書いてあることは、賛同するかどうかはともかく注目していい言葉だと思います。
ちょうどいま、郷原宏著の評伝「岸辺のない海 石原吉郎ノート」を読んでいるところなので興味をひきました。

月野ぽぽなさんは、角川俳句賞の受賞者で、
自由律俳句誌「きやらぼく」の若手作家特集にも登場した方ですね。


「ハイクノミカタ」管理人は堀切克洋氏。
以下、「管理人について」より転載。
1983年生まれ。2011年7月「銀漢」入会、2014年同人。2014年、第6回石田波郷新人賞奨励賞、2015年、第6回北斗賞準賞、2016年、俳人協会第3回新鋭評論賞大賞、2017年、第8回北斗賞受賞、2018年、第一句集『尺蠖の道』上梓、2019年、第42回俳人協会新人賞、2020年第21回山本健吉評論賞。


(文:久坂夕爾)