分け入つても分け入つても青い山
生死の中の雪ふりしきる
踏みわける萩よすすきよ
へうへうとして水を味ふ
まつすぐな道でさみしい
どうしようもないわたしが歩いてゐる
すべつてころんで山がひつそり
捨てきれない荷物のおもさまへうしろ
水音といつしよに里へ下りて来た
まつたく雲がない笠をぬぎ
酔うてこほろぎと寝てゐたよ
うしろすがたのしぐれてゆくか
鉄鉢の中へも霰
今日の道のたんぽぽ咲いた
雨ふるふるさとははだしであるく
雪へ雪ふるしづけさにをる
あるけばきんぽうげすわればきんぽうげ
うつむいて石ころばかり
山のいちにち蟻もあるいてゐる
炎天かくすところなく水のながれくる
うれてはおちる実をひろふ
病めば鶲がそこらまで
雪のあかるさが家いつぱいのしづけさ
ふくろうはふくろうでわたしはわたしでねむれない
月も水底に旅空がある
すわれば風がある秋の雑草
春が来た水音の行けるところまで
この道しかない春の雪ふる
ほつかり覚めてまうへの月を感じてゐる
枯れゆく草のうつくしさにすわる
ひつそり暮らせばみそさざい
空へ若竹のなやみなし
春風の扉ひらけば南無阿弥陀仏
あるけばかつこういそげばかつこう
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