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2025年3月30日日曜日

第8回 尾崎放哉賞決定!

 第8回 尾崎放哉賞が決定しています。


<一般の部>

尾崎放哉大賞

 生家の栗の木は貉に任せてある        信 典

春陽堂賞

 月を砕いて夜に染まり切らない川       松尾  貴

優秀賞

 悼むには明るすぎる星が流れる        石井 一草

 ビーチサンダルひとつ裏返って太平洋     一の橋世京

 白い靴退屈を蹴った汚れ           大山 まる

 どのテレビもガザの子が泣く電気屋      本山 麓草

 君がいない余白に花を植える         森下 紙魚

敢闘賞

 海月だらけ雨の街              大坪 有佑


【第八回尾崎放哉賞選者】

自由律俳句結社『青穂』役員:

  小山貴子、黒崎溪水、平山礼子、高木架京、平岡久美子、三好利幸


皆様受賞、おめでとうございます。

表彰式が五月の青穂大会にて行われます。

他の入賞句については、尾崎放哉賞のホームページにてご確認ください。

尾崎放哉賞


(文:久坂夕爾)

2024年11月12日火曜日

第八回尾崎放哉賞の締切が迫っています。今月30日必着です。

 

第八回尾崎放哉賞の締切が迫っています。

今月11月の30日が必着となります。

詳細は下記放哉賞のサイトでご確認ください。

尾崎放哉賞のサイト


たくさんの応募をお待ちしております。



2024年10月28日月曜日

青穂54号が発行されました。

 




青穂54号が発行されました。
画像は上から順に、表紙、自由律俳人の墨蹟(藤後左右)、青穂抄(伊藤人美選)。

目次より本号の内容
・新同人紹介
・同人・準同人作品
・私の感銘句
・青穂の窓(黒崎渓水選)
・エッセイ・評論
 私と自由律俳句16           黒崎渓水
 俳人阪本四方太③            小山貴子
 自由律俳人・和田光利の歩み(その一)  菅原誠
 「ならドットFM」から②        小山貴子
 「きまぐれ写俳日記50」        きむらけんじ
・一句鑑賞
・句会報
・同人新刊紹介
・そのほか
 麦秋欄、お知らせ、編集後記
・第八回尾崎放哉賞募集案内

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第八回尾崎放哉賞募集中です!。締め切は11月30日必着。

応募お待ちしております。下線部分をクリックしてください。


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(文:久坂夕爾)


2024年9月23日月曜日

詩人のエッセイ

 



 詩人・俳人のエッセイをときおり読みます。詩論や俳論は、どうも空中戦(観念的)になりがちで、それはそれでいいのですが、私には詩人・俳人が日々の暮らしのなかで詩や俳句とどうつながっているのか、のほうが興味があるようです。
 ただね、世間擦れしすぎているというか、もっというとテレビのお涙ちょうだい的な経験主義的・精神主義的なものも多くて、これはこれで読んでいるとつらいものがあります。詩人・俳人がこんな感想でいいのか、と思ってしまうこともあります。

写真の3点は、左から。長田弘「幼年の色、人生の色」、小津夜景「カモメの日の読書」、小笠原鳥類「吉岡実を読め!」。最近読んだおすすめ。3点目は評論といったほうが良いかも知れませんが。


長田弘はつい先年亡くなってしまいましたが、詩人にはめずらしく(?)エッセイの文章がいいです。みすず書房から詩集やエッセイが何冊も出版されていますね。みすず書房のような(詩歌ではない)専門出版社から詩人の書くものが複数出版されているのはめずらしいのではないでしょうか。みすず書房が好きな出版社となったきっかけは、なんといっても「チーズとうじ虫 16世紀の一粉挽屋の世界像」。中世でも古代であっても、人は生きて、その暮らしと世界や宇宙や技術というものは同じ平面でつながっているのだと思い知らされたような気がするのです。

小津夜景は、このサイトを訪れるような方でしたらご存じの方も多いはず。句集『フラワーズ・カンフー』(ふらんす堂)で田中浩明賞を受賞。この句集、というよりも詩集(漢詩・短歌も収録しています)、は私も持っています。いつだったか、東京での文学フリマ(フリーマーケット)に顔を出した際、週刊俳句のブースの方に強く推されて買い求めたものです。先日ネット配信していた、芥川賞作家の吉村萬壱(「死者にこそふさわしい場所」など)との対談を見逃してしまって、惜しいことをしました。

小笠原鳥類は、現代詩の第一人者と目される方ですね。吉岡実もそうですが、ことばが先行して、しかも長い詩は基本的に好まないのですが、ただ、こういう方が詩をどう考えているか、吉岡実の詩をどう読んでいるか、はとても参考になりました。
「詩人たちはことばについてとても不勉強だ」、というのは私を含めその通りだな、と思いますね。俳人も同じく。また、「立原道造は決して『青春の詩人』(というようなカテゴリに入る詩人)などではない」「宗左近の文章はいい」という箇所は大きくうなづいてしまいました。

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第八回尾崎放哉賞募集中です!。締め切は11月30日必着。

応募お待ちしております。下記の下線部分をクリックしてください。


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(文:久坂夕爾)


2024年9月2日月曜日

第八回尾崎放哉賞募集中です 締切は2024年11月30日 メールでの応募も可能です

 

第八回尾崎放哉賞の募集中です。下のリンクをクリックしてください。

尾崎放哉賞

是非ご応募ください。


※前回の募集要項から変更があります、

 今回より、一般・高校生の区別がなくなりました。

 ただし、投句料については、高校生であることがわかれば半額の千円となり、投句数の制限もありません。詳細は、上記ホームぺージの「ご案内はコチラ」をクリックしてご覧ください。


(文:久坂夕爾)


 

2024年8月12日月曜日

青穂53号が発行されました。


青穂53号が発行されました。


画像は順に、表紙、同人新刊案内・お知らせ、青穂抄(伊藤清雄選)
      第八回尾崎放哉賞募集案内

目次より本号の内容
・第十一回青穂全国大会(大阪)
・第七回尾崎放哉賞表彰式
・新同人紹介
・同人・準同人作品
・私の感銘句
・青穂の窓(高木架京選)
・エッセイ・評論
 記憶に残る俳人・俳句15        加藤邪呑
 私と自由律俳句15           萱沼良行
 俳人阪本四方太②            小山貴子
 伊藤みどり自由律俳句集『青葉あかり』(昭和63年刊)を読んで
                     早舩煙雨
 「ならドットFM」から①        小山貴子
 「きまぐれ写俳日記49」        きむらけんじ
・一句鑑賞
・句会報
・同人新刊紹介
・そのほか
 麦秋欄、お知らせ、編集後記
・第八回尾崎放哉賞募集案内

 


(文:久坂夕爾)

2024年5月19日日曜日

青穂52号が発行されました。









 青穂52号が発行されました。


画像は順に、表紙、青穂抄(伊坂恵美子選)尾崎放哉色紙、同人新刊案内
      第七回尾崎放哉賞発表①②

目次より本号の内容
・第七回尾崎放哉賞発表
・追悼 浜松の俳人 大軒妙子
・同人・準同人作品
・私の感銘句
・青穂の窓(小山貴子選)
・エッセイ・評論
 記憶に残る俳人・俳句14        吉田紀彦
 私と自由律俳句14           中村友乙
 田村梯夫氏『「恩愛の碑」-戊辰戦争秘話-』を読んで②
                     渡辺敏正
 「きまぐれ写俳日記48」        きむらけんじ
 俳人阪本四方太①            小山貴子
・一句鑑賞
・句会報
・同人新刊紹介
・そのほか
 麦秋欄、お知らせ、編集後記、名刺交換
 第十一回青穂全国大会(大阪)


(文:久坂夕爾)


2024年3月16日土曜日

第7回尾崎放哉賞決定

第7回 尾崎放哉賞が決定しています。


<一般の部>

尾崎放哉大賞

  月を青くして誰もいないふる里       いまきいれ尚夫

春陽堂賞

  両手の団栗こぼしながら駆けてくる     宮澤 省子

優秀賞

  大人びてゆく液晶のなかの教え子      明    大

  墓にまっすぐ見られながら立ち去る     楽遊原

  バス停に子を降ろして稲刈機は去る     田畑 剛

  背中の淋しさを見られながらおいとまする  久光  良一

  秋がこぼれきって葉の先          古関    聰

敢闘賞

  空振りする息子をした日もあった      小石 遥也


<高校生の部>

最優秀賞

  同じ世界を見るために少し猫背になる    遠藤 涼太

                      (埼玉県立滑川総合高等学校)

【第七回尾崎放哉賞選者】

自由律俳句結社『青穂』役員:

  小山貴子、黒崎溪水、吉多紀彦、平山礼子、高木架京、平岡久美子、三好利幸


受賞、おめでとうございます。

他の入賞句については、尾崎放哉賞のホームページにてご確認ください。

尾崎放哉賞


(文:久坂夕爾)


2023年11月3日金曜日

第七回尾崎放哉賞 締切(11月30日)が迫っています メールでの応募も可能です

第七回尾崎放哉賞の応募締切が11月30日に迫っています。

是非ご応募ください。

尾崎放哉賞


※ご注意

ホームページが、第六回までのものと変更になっていますので、ご注意ください。

ブックマークなどに入れている方は、お手数ですが、新たにお気に入り登録することをお勧めします。

また、今回高校生の方の応募方法に変更があります。

  ※メールでのエクセル(横書き)添付必須

詳しくは、上記ホームページで確認をお願いします。


第1~6回までのページはこちら


◆過去の尾崎放哉賞大賞受賞作品◆

月の匂いの石に坐る       藤田 踏青

ひまわり咲いて疎遠の鍵を外す   増田 眞寿子

ネギ切る音がまっすぐな雨になる  井上 知子

だんだん空が大きくなる坂を上る  遠藤 多満

蝉時雨浴びて秘密基地の入り口   砂狐

母の内にあるダムの静けさ     田中 佳


(文:久坂夕爾)


2023年10月28日土曜日

青穂50号が発行されました。




青穂50号が発行されました。


画像は順に、表紙、青穂抄(秋生ゆき選)、池田実吉色紙。
色紙の句 やわ肌の移り香あまき春の服縫う

目次より本号の内容
・同人・準同人作品
・私の感銘句
・青穂の窓(平山礼子選)
・エッセイ・評論
 記憶に残る俳人・俳句12        井上敬雄
 私と自由律俳句12           伊藤清雄
 『随句の基調』を読んで         福田和宏
 「きまぐれ写俳日記46」        きむらけんじ
・一句鑑賞
・句会報
・そのほか
 同人新刊案内
 お知らせ、編集後記
 第七回尾崎放哉賞募集案内
 第十一回青穂全国大会について


(文:久坂夕爾)

2023年9月30日土曜日

第七回尾崎放哉賞受付中です。締切は11月30日必着

 第七回尾崎放哉賞の募集受付中です。

尾崎放哉賞


※ご注意

ホームページが、第六回までのものと変更になっていますので、ご注意ください。

ブックマークなどに入れている方は、お手数ですが、ページの差し替えをお願いします。

また、今回高校生の方の応募方法に変更があります。

上記ホームページで確認をお願いします。


第1~6回尾崎放哉賞までのページはこちら


(文:久坂夕爾)


2023年8月5日土曜日

青穂49号が発行されました。

 




青穂49号が発行されました。


画像は順に、表紙、青穂抄(渡辺敏正選)、青穂全国大会受賞句。

目次より本号の内容
・第十回青穂全国大会・第六回尾崎放哉賞表彰式
・同人・準同人作品
・私の感銘句
・青穂の窓(高木架京選)
・エッセイ・評論
 記憶に残る俳人・俳句11        佐瀬風井梧
 私と自由律俳句11           田畑剛
 「きまぐれ写俳日記45」        きむらけんじ
・一句鑑賞
・句会報
・そのほか
 お知らせ、編集後記
 第七回尾崎放哉賞募集案内
 『青穂第二句集』募集案内


(文:久坂夕爾)



2023年6月10日土曜日

第7回尾崎放哉賞募集受付中!

 





第6回の尾崎放哉賞発表の本誌記事転載
上:放哉賞高校生の部
中:放哉賞一般の部
下:本誌よりお知らせ

応募句はすべて、「青穂」本誌に掲載されます。

第7回尾崎放哉賞の募集も始まっています、
※第7回より、高校生の部は
『エクセル添付のメールのみ受け付け』と変更になっています。
注意してください。

詳しくは、下記を参照してください。

たくさんの応募、お待ちしております。


放哉賞とは関係ないのですが、
信濃毎日新聞にて、自由律俳人松尾あつゆきの記事の連載が先ごろ始まっています。
長野県内在住でご興味のある方はぜひお読みください。
(たしか県外でも取り寄せできた気が。。。できなかったらすみません。)
原爆詩集の峠三吉や原民喜は有名ですが、俳句で被爆体験を高い水準で作品化した方です。

これも関係ないのですが。というかどうでもいい話ですが、
中・高校生時代、私は新聞配達をしていまして、信濃毎日新聞の専売所に毎日通っておりました。


(文:久坂夕爾)

2023年5月5日金曜日

青穂48号が発行されました。





青穂48号が発行されました。


画像は順に、表紙、自由律俳人の筆跡(伊藤雪男)、青穂抄(渡辺敬子選)。

目次より本号の内容
・第六回尾崎放哉賞発表
・同人・準同人作品
・私の感銘句
・青穂の窓(黒崎渓水選)
・エッセイ・評論
 記憶に残る俳人・俳句10        河野初恵
 私と自由律俳句10           久光良一
 『後谷五十鈴 自由律俳句集』鑑賞    黒崎渓水
 <<忘れえぬ女>>
  イワン・クラムスコイ画        奥野立日十
 「きまぐれ写俳日記44」        きむらけんじ
・一句鑑賞
・句会報
・そのほか
 お知らせ、編集後記
 第十回青穂全国大会(東京)ご案内
 『青穂』第二句集募集案内


(文:久坂夕爾)

2023年3月4日土曜日

第6回尾崎放哉賞決定

第6回尾崎放哉賞が発表されました。

<一般の部>

◆大賞

母の内にあるダムの静けさ       田中 佳

◆春陽堂賞

和音のように揺れあって光は春になる  久我 恒子

<高校生の部>

◆最優秀賞

フラスコの中ぎゅうぎゅうの都会    信田 龍之介


そのほかの入選句は、尾崎放哉賞(第1~6回) をご覧ください。



!第7回より、放哉賞告知サイトおよび、応募要項などの変更があります!

尾崎放哉賞(第7回~)


(文:久坂夕爾)



2022年11月12日土曜日

青穂46号が発行されました


青穂46号が発行されました。

画像は順に、表紙(住宅顕信)、色紙(波多野翠江)、青穂抄(ゆきいちご選)。

目次より本号の内容
・同人・準同人作品
・私の感銘句
・青穂の窓(吉多紀彦選)
・エッセイ・評論
 記憶に残る俳人・俳句7         ちばつゆこ
 記憶に残る俳人・俳句8         大軒妙子
 加藤邪呑第二句集「地おどろ海おどろ」鑑賞
                     伊藤静雄
 昼下がりの映画館            伊藤風々
 新幹線のある日常            福田和宏
 「きまぐれ写俳日記42」        きむらけんじ
・一句鑑賞
・句会報
・そのほか
 同人新刊案内、お知らせ、同人情報、編集後記
 第6回尾崎放哉賞募集案内


尾崎放哉賞、締切迫っていますので、お早めにどうぞ。


(文:久坂夕爾)




2022年10月30日日曜日

第6回尾崎放哉賞 締切(11月30日)まであと1か月を切りました。メールでの応募もできます。




第6回尾崎放哉賞の締切は11月30日。

締切がせまってきました。

http://www.hosai-seiho.net/

クリックすると、尾崎放哉賞のページにジャンプしますので、

応募要項など、確認してみてください。

メールでの投句もできます


是非、ご応募ください。


(文:久坂夕爾)




2022年9月11日日曜日

青穂大会・尾崎放哉賞授賞式でのこと「尾崎放哉とヨルシカ」(3)

 ヨルシカと尾崎放哉の句の続きです。

ヨルシカ(n-buna)はインタビューで次のように奥深いことも言ってます。

音声合成ソフトで楽曲(ボカロ曲)を制作するという現代的な面と、しかし一方でその歌詞の基本潮流はバリバリの王道近現代文学であるという二物衝突が面白いです。

放哉に加え、山頭火もリスペクトしているとのことです。

 

(以下インタビュー記事から引用)

   先ほどオスカー・ワイルドに大きな影響を受けたという話をしていましたが、それ以外にも、n-bunaさんが影響を受けた、自分の創作のルーツになっていると感じる人はどんな人があげられますか?

n-buna それはもう、沢山いますね。音楽的なところで言えば、僕はブルースとか、ギターヒーローのようなギタリストが好きなんです。ジョニー・ウィンター、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、ラリー・カールトンのような人達が好きだし、影響を受けていると思います。映画だったら、クリストファー・ノーランやデビット・フィンチャー、あとはヒッチコックが好きで影響を受けています。あと、僕は近代歌人が好きなんです。名前を挙げるならば、正岡子規、与謝蕪村、種田山頭火の俳句や短歌にはすごく影響を受けています。作品の中でもいろんな箇所でオマージュしていますね。


―作品の中でオマージュしている、というと?

n-buna 「雨とカプチーノ」の詩には、正岡子規の「水草の 花の白さよ 宵の雨」という歌や、井伏鱒二の「花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ」という言葉へのオマージュが入っています。あとは、物語の骨格にも井伏鱒二の「山椒魚」からの影響があります。「山椒魚」は簡単に言えば、どんどん自分の体が肥大していってそれによって岩屋から出られなくなった山椒魚が、ある日迷い込んできた蛙を閉じ込めてしまう話です。『エルマ』では、エルマ自身の 中で虚無感や焦燥感がどんどん肥大していく。エイミーの書く詩や文章、曲調やメロディー から、一人称までも真似して、エイミーになろうとする。ここでいう山椒魚はエルマです。岩屋は音楽であり、エイミーの残した作品であり、エルマの生き方そのものです。『山椒魚』を僕なりの解釈で噛み砕いて隠喩にしたものが、今作の骨組みであり土台です。

 

―初回限定盤【エルマが書いた日記帳仕様】の「日記帳」の中には松尾芭蕉と与謝蕪村の名前も出てきます。この作品には二人の関係もなぞらえられている印象もありますが。

n-buna そうですね。僕は与謝蕪村と松尾芭蕉の関係というものが好きで。与謝蕪村は、松尾芭蕉が残した作品に影響を受けて、芭蕉が辿った道をなぞるように日本中を旅している。それは本当に美しい芸術の模倣の仕方だと思うんです。それこそ、オスカー・ワイルドの言葉が、そのままこの頃の日本でも行われているんですよ。ヨルシカでエイミーとエルマの物語を作るにあたっても、そういう構造を描きたかったというのがあります。『山椒魚』も与謝蕪村の話もそうですけど、結局、僕はそのオスカー・ワイルドの「人生は芸術を模倣する」という言葉をヨルシカで表現したかった、そこに尽きるんですよね。

 

―「雨晴るる」についてはどうでしょうか?

n-buna 「雨晴るる」は「六月は雨上がりの街を描く」の対になっています。「六月は雨上がりの街を描く」は雨上がりの曲じゃなくて、雨上がりの街を描きたいということをエイミーが書いている曲。そして、実際に、雨が上がって晴れた六月の街の曲をエルマが書いた曲が「雨晴るる」です。これは山頭火の句から題を取っています。山頭火は「山は街は梅雨 晴るる海のささ濁り」という歌を旅の途中で詠んでいるんですが、そこからとって「雨晴るる」というタイトルにしました。そのことによって山頭火へのリスペクトを示しています。

 

(続く)


インタビュー記事は以下のサイトより

ヨルシカ 2nd Full Album「エルマ」オフィシャルインタビュー


(文:黒崎渓水)



2022年8月14日日曜日

青穂大会・尾崎放哉賞授賞式でのこと「尾崎放哉とヨルシカ」(2)

 ヨルシカのプロフィール

「ウミユリ海底譚」「メリュー」などの人気曲で知られるボカロP(ボーカロイド、UTAUCeVIO(チェビオ)などの音声合成ソフトで楽曲(ボカロ曲)を制作して動画投稿サイトへ投稿する音楽家)のn-bunaが、女性シンガーのsuisをボーカリストに迎えて2017年に結成したバンド。n-bunaの持ち味である心象的で文学的な歌詞とギターサウンド、透明感のあるsuisの歌声を特徴とする。20174月に初の楽曲「靴の花火」のミュージックビデオを投稿。6月に1stミニアルバム「夏草が邪魔をする」をリリースした。20194月に1stフルアルバム「だから僕は音楽を辞めた」、8月に2ndフルアルバム「エルマ」を発表し、10月よりライブツアー「ヨルシカ Live Tour 2019『月光』」を開催。20207月に3rdフルアルバム「盗作」をリリースした。

 

昭和生まれのアナログ人間には理解不能な単語が並びますが、とにかく尾崎放哉を世に広めてくれてありがとうございます、とひたすら言いたいです。

以下、楽曲「思想犯」歌詞と尾崎放哉の原句

 

<歌詞(抜粋)>

他人に優しいあんたにこの心がわかるものか

人を呪うのが心地良い、だから詩を書いていた

朝の報道ニュースにいつか載ることが夢だった

その為に包丁を研いでる

<原句>

木槿(ムクゲ)の葉のかげで包丁といでいる

<青穂ブログ管理人コメント>

この句は『層雲雑吟』と題された未発表句稿集の6番目に当たる句稿からの引用。あまり有名な句ではありません。

放哉の句意は写生の色彩が強く、歌詞のような犯罪的な意味ではないでしょう。

『思想犯』の歌詞は彼の俳句をモチーフにはしていますが、それを昇華させ、再構築しているように感じます。

それにしてもレアな句を取り上げたなあ、と思います。

 

<歌詞(抜粋)>

言葉の雨に打たれ

秋惜しむまま冬に落ちる

春の山のうしろからまた一つ煙が立つ

夏風が頬を滑る

<原句>

春の山のうしろから烟が出だした

<青穂ブログ管理人コメント>

一方こちらは有名な句。

死後「層雲」に発表された。『大空』では小豆島時代最後の句。鳥取の興禅寺に句碑あり。

再起不能の病床にあって、のどかに立ちのぼり始めた白い煙りに、春が来たことへの安らかな喜びを感じている。

歌詞では放哉の人生をかけた渾身の最終句という思い入れは感じさせず、四季に拡大して使用されています。

 

<歌詞(抜粋)>

君の言葉が呑みたい

入れ物もない両手で受けて

いつしか喉が潤うその時を待ちながら

鳥の歌に茜 この孤独よ詩に変われ

さよなら 君に茜 僕は今 夜を待つ

また明日 口が滑る

<原句>

入れものが無い両手で受ける

<青穂ブログ管理人コメント>

南郷庵の句碑の句。庵での独居生活の極限のような吐露。歌詞では言葉を両手で掬う場面として使用されています。

 

なおインタビューでは、以下のように述べられています。

――この曲(「思想犯」)はどういうモチーフから作ったんでしょうか。

n-buna 「思想犯」というテーマ自体は、ジョージ・オーウェルの『1984』という小説がもとになっています。言葉狩りの時代を描いたディストピア小説で。もう一つ、この曲の歌詞には尾崎放哉の俳句からとっている箇所があって。この曲自体が尾崎放哉の俳句と晩年をオマージュしている曲なんですね。このオマージュというのは盗用とも言えると思うんですけれど。「春の山のうしろから煙が出だした」とか「入れものがない両手で受ける」とか、尾崎放哉の晩年の作品や辞世の句を直接的にオマージュしている。そういう曲です。

 

(続く)


(文:黒崎渓水)


2022年7月24日日曜日

青穂大会・尾崎放哉賞授賞式でのこと「尾崎放哉とヨルシカ」(1)

 今回はもう一人の裏方が担当します。

5月の尾崎放哉賞の授賞式に出席したのですが、協賛をいただいている春陽堂書店さまのご挨拶の中で「最近、放哉はヨルシカなどでも盛り上がっており・・・」というコメントがありました。当方「???」

式の運営もあり、その場は質問することもなく過ぎたのですが、懇親会で高校生の部の入賞者と隣席となりました。「どうして自由律俳句を作り始めたの?やはり山頭火?」というありふれた問いを投げかけたところ、「ヨルシカがきっかけです」ときっぱり凛々しく答えてくれました。当方「???」

「オジサンさあ、何語を言ってるのかよくわからないんだけど、それ何なのか教えてくれる?」と哀願したところ、彼はニッコリとほほ笑んで、おもむろにスマホを取り出し、YouTubeで示してくれました。

知ってる方は知ってるのだと思いますが、人気のあるバンドだそうです。一部の楽曲は尾崎放哉の句のオマージュとなっているとのこと。


ヨルシカ『嘘月』より。

「夏が去った街は静か 僕はやっと部屋に戻って 夜になった こんな良い月を一人で見てる」

「歳を取った 一つ取った 何も無い部屋で春になった 僕は愛を、底が抜けた柄杓で呑んでる」

ヨルシカ「usotsuki」


放哉の句はそのまま引用されているわけではありません。

とても練り上げられた歌詞だと思います。次回はヨルシカの「思想犯」を引用します。


(文:黒崎渓水)