お知らせ

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆お知らせ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ヘッダ写真はアルプス穂高岳。 見本誌の請求や記事内容への問い合わせなどは「問い合わせフォーム」をご利用ください。 Twitterへのリンクを張りました。右側スリットにあります。

2022年7月24日日曜日

青穂大会・尾崎放哉賞授賞式でのこと「尾崎放哉とヨルシカ」(1)

 今回はもう一人の裏方が担当します。

5月の尾崎放哉賞の授賞式に出席したのですが、協賛をいただいている春陽堂書店さまのご挨拶の中で「最近、放哉はヨルシカなどでも盛り上がっており・・・」というコメントがありました。当方「???」

式の運営もあり、その場は質問することもなく過ぎたのですが、懇親会で高校生の部の入賞者と隣席となりました。「どうして自由律俳句を作り始めたの?やはり山頭火?」というありふれた問いを投げかけたところ、「ヨルシカがきっかけです」ときっぱり凛々しく答えてくれました。当方「???」

「オジサンさあ、何語を言ってるのかよくわからないんだけど、それ何なのか教えてくれる?」と哀願したところ、彼はニッコリとほほ笑んで、おもむろにスマホを取り出し、YouTubeで示してくれました。

知ってる方は知ってるのだと思いますが、人気のあるバンドだそうです。一部の楽曲は尾崎放哉の句のオマージュとなっているとのこと。


ヨルシカ『嘘月』より。

「夏が去った街は静か 僕はやっと部屋に戻って 夜になった こんな良い月を一人で見てる」

「歳を取った 一つ取った 何も無い部屋で春になった 僕は愛を、底が抜けた柄杓で呑んでる」

ヨルシカ「usotsuki」


放哉の句はそのまま引用されているわけではありません。

とても練り上げられた歌詞だと思います。次回はヨルシカの「思想犯」を引用します。


(文:黒崎渓水)


2022年7月10日日曜日

記憶に残る俳人・俳句(1)~(6)

青穂本誌では、約1年前から「記憶に残る俳人・俳句」という持ち回り記事が掲載されています。

最新号の(6)まで、どういう俳人・俳句が掲載されているか、ちょっと抜粋してみます。


・近木圭之介(1912~2009)

 いっしょにあるけばまがってゆくみち

 自画像 青い絵の具で蝶は塗りこめておく

 朝 卵が一個古典的に置かれていた


・井上泰好(1930~2015) ※第1次尾崎放哉賞主催者

 桜が咲いて地球がやさしい顔になる

 埋めて貰う墓地から港が見えて春の海

 何はなくとも春の風がある古里に住む


・吉田雅童(?~2007)

 石に雨ふる短律

 蛇とて月夜の木のてっぺん

 天からもろうて雨もり


・吉浦俊雄(1930~2014)

 夕闇青く草が蛍をはなつ

 おのおのおのれの脱いだ履物へ散会す

 こころ炎天へ耕してからっぽな土とす


・時実新子(1929~2007) ※川柳作家

 ブラックコオヒイ女がさめてゆく過程

 入っています入っていますこの世です

 ひぐらしが死ぬほど泣いたひとごろし


・高田弄山(1956~2013)

 ほたる仮縫いの夜をほどく

 笑っている人の顔で笑っている

 酔いしれてバラの上で風葬される


気になった作家がいましたら、ネットで検索してみてもいいかもしれません。

私も、俳句を始めたころは、よくネット検索して好みの作風の作家を探したり、好みの作家の作品を探して、ネットの国会図書館のページを探ったりしていました。

そして、このページが、そういう方の検索時にひっかかってくれると、うれしいですね。



(文:久坂夕爾)


訃報 河原枇杷男、安井浩司

訃報が続きますね。興味のない方には申し訳ないのですが、ご勘弁を。


俳句誌「鬣」によると、俳人河原枇杷男、安井浩司両氏がなくなったようです。河原氏は平成29年にすでに亡くなっていたが、事情により公表されていなかったもよう。安井氏については、逝去の日はわかりませんが、最近のようです。

両人は、私が俳句を書くにあたって個人的にとても重要な位置づけにある俳人ですので、先日の清水哲男氏の訃報とともに、心に刺さるものがあります。

以前目にした、安井浩司に関する記事があるサイトを載せておきます。総合文学ウェブ情報誌「文学金魚」。こういう、美術・演劇・文学など広範囲にわたる本格的な論評もあるサイトが登場すると、『メディア』としてのインターネットはもう無視できないところまで来ているのだな、と思いますね。

文学金魚

ご冥福をお祈りします。


(文:久坂夕爾)