お知らせ

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆お知らせ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ヘッダ写真はアルプス穂高岳。 見本誌の請求や記事内容への問い合わせなどは「問い合わせフォーム」をご利用ください。 Twitterへのリンクを張りました。右側スリットにあります。

2024年3月25日月曜日

高田弄山句抄


近頃は長針と短針に足を挟まれます

緞帳ストン首は闇に陳列される

あと一塗りの空から鳥がすり抜けた

ほたる仮縫いの夜をほどく

笑っている人の顔で笑っている

耳穴から溢れる砂時計の波音

映る花にとまり蝶は鏡で飼われる

ハサミが入り薔薇は女の匂いを放つ

なみなみと注がれ舞蝶がすけてくる

井戸の底に落した影が澄んでいる

風ねむれぬ夜は放火魔と通じあい

小鳥を数え終えて密林消えた

蟻が地平線を持ちあげてゆく花野

風がくるくるむけて月がまぶしい

ガラス片の霧雨に人魚とすれちがう

桃が闇を引いて転がり落ちる

金魚ゆらゆら花のひらく匂いがする

月は何色にぬっても嘘になる

絵の具がかわくまで生きていた蝶

夜店の人魚に値札がついている


高田弄山(たかだ・ろうざん)(1956-2013)の句に接しての私の印象は、「不穏で生命力の薄い静寂」。そして、表現力がある作家性の強い作風。絵画もたしなんでいたように見えます。


句については、下記京都泉の会のブログから抄出・引用させていただきました。ありがとうございます。問題があるようでしたら、お知らせください。

この泉の会のブログには、かなりの数の自由律俳人の句抄もあり(野村朱燐洞の句抄もありました。)、ここ数年精力的に更新されていますので読みでがあります。

ぜひ、訪問してみてください。右側スレッドにリンクも貼りました。

自由律俳句 京都・泉の会ブログ

(文:久坂夕爾)



0 件のコメント: