第八回尾崎放哉賞の締切が迫っています。
今月11月の30日が必着となります。
詳細は下記放哉賞のサイトでご確認ください。
たくさんの応募をお待ちしております。
自由律俳句誌「青穂」同人のブログです。別途、青穂が運営するホームページ、尾崎放哉賞は、右側スリットにあるリンクより閲覧下さい。
原爆によって家族を亡くした自由律俳人・松尾あつゆきの人生・創作を追った「いまぞ熾(さか)りつ」が発売されました。
これは、上野啓祐氏によって昨年から今年にかけて信濃毎日新聞に連載された記事に加筆されたものです。山頭火との交わりも少しあります。
興味がありましたら、お手に取ってみてください。amazonのリンクを張っておきます。
降伏のみことのり、妻を焼く火 いまぞ熾(さか)りつ
なにもかもなくした手に四枚の爆死証明
炎、子のいまわの水をさがしにゆく
---------------------------------------------------------------------
第八回尾崎放哉賞募集中です!。
是非チャレンジしてみてください。下記の下線部分をクリック。
---------------------------------------------------------------------
第八回尾崎放哉賞の募集中です。下のリンクをクリックしてください。
是非ご応募ください。
※前回の募集要項から変更があります、
今回より、一般・高校生の区別がなくなりました。
ただし、投句料については、高校生であることがわかれば半額の千円となり、投句数の制限もありません。詳細は、上記ホームぺージの「ご案内はコチラ」をクリックしてご覧ください。
(文:久坂夕爾)
青穂53号が発行されました。
今年三月に発行された「青穂 第二句集」より、同人ひとり1句のかたちで紹介します。(五十音順) ※前回の続きです
なお、本句集は全国の図書館に寄贈されています、図書館で検索してみてください。また実際に手に取ってみたい方は、問い合わせフォームより連絡いただければ、多分お売りできると思います。メールアドレスと「第二句集送ってください」の一言だけいただければ、折り返しご連絡いたします。
島田茶々 後退りもうできないよ曼殊沙華
鈴木しのぶ バス停に立っているまだ母の顔
高木架京 欲望がはらりと崩れるチューリップ
高鳥城山 冷えた汁をすする師走となる
高橋恒良 津波の浜にハマナスの花一番乗り
高村昌慶 蜜柑色の風が吹く 病室の窓開けておく
田中昭雄 雨後の土の臭いをした女
谷田越子 ヒラヒラひらがな座っていく秋のベンチ
田畑剛 抱かせてもらう赤子うつくしい鬼になれ
ちばつゆこ かあちゃんと言いたそうな目で子犬
中村友乙 妻一語吾一語にて足るコロナ禍の食事
南家歌也子 ため息ひとつすずめ庭に来ている
橋本登紀子 ぽつんと石に掛けて石になってみる
早舩煙雨 遠雷あなたの脚は湖になり
久光良一 逃げ道も回り道もないあとはまっすぐ
平岡久美子 断捨離の恋愛小説ひとくくり
平山礼子 日盛りの廃校に犀が来ていた
福田和宏 ラブラブか介護か
宮内天正 大葉ゆれる 谷風にあらず尺取虫
三好利幸 あおぞらになきながらおりがみの兵卒
ゆきいちご 鰯雲一つだけ蝶に生まれかわる微風
弓削酔魚 ここらでひとつ好きな言葉で生きていく
吉多紀彦 外の時間動かしている蝶ひとつ
楽遊原 見せてはいけないところがひとつも無い犬で
渡辺敬子 冬の陽を使い切ってるアジの干物
渡辺敏正 流氷の音から古里が出てきた
(選、文:久坂夕爾)
今年三月に発行された「青穂 第二句集」より、同人ひとり1句のかたちで紹介します。(五十音順)
なお、本句集は全国の図書館に寄贈されています、図書館で検索してみてください。また実際に手に取ってみたい方は、問い合わせフォームより連絡いただければ、多分お売りできるかと思います。メールアドレスと「第二句集送ってください」の一言だけいただければ、折り返しご連絡いたします。
秋生ゆき 売れ残りのポインセチアとバスに乗る
幾代良枝 どこかでだれかがわらったあおぞら
伊坂恵美子 魚の眼を子じっと覗き込む
一の橋世京 蜩落ちて蟻も来ない通夜
伊藤静雄 鳳仙花クリック季の消失点
伊藤人美 足搔いている女に席ゆずられる
伊藤風々 花曇り歯抜けの友に会う
井上敬雄 もう竹やぶの春風
いまきいれ尚夫 ゆったり浸かって湯の中のあした
岩淵幸弘 白帽白ワンピースの君向日葵のうらの模造中毒
薄井啓司 野に花かんむりの置かれたまま
大軒妙子 秋日和こっそり無作法にシュークリーム
大山まる 汚れた足洗う5時の言い訳
荻島架人 二人に似た花を二人で見ている
奥野立日十 影踏まれ鬼となりまた影をふむ
小山幸子 パンツ忘れた少年が春を連れてくる
折口朋子 仏塔に闇せり上げる火祭り
加藤武 私のコロナ感染夏の甲子園準決勝から
菅沼良行 嘘がカラカラとグラスを回る
河野初恵 うそ泣きする孫と知恵くらべ
きむらけんじ 父は家出て廊下にこおろぎがいる
久坂夕爾 永遠は蛾を焼く火
草場克彦 なんで中村君と大原君が遊んでるの
黒崎渓水 波の数の地球の履歴
後谷五十鈴 吹雪く夜の外灯は漁火一片の執念
小山貴子 蟻二匹我が家に入る我が家のように
近藤健 故郷に墓ぽつり雪の降る
酒本郁也 浜に座れば暗い海が見え出す
佐瀬風井梧 手ぶらで花のみち空のみち
汐海治美 萩の階段ジャンケンの数だけ降ってくる
次回、残りの26人分を掲載します。
(選、文:久坂夕爾)
青穂52号が発行されました。
いつも訪問ありがとうございます。
本ブログのアクセス数が、開設以来20000アクセスを超えていました。
以下にアクセスの多い記事の一覧を載せています。
・黒崎渓水さん執筆のヨルシカの記事がやはり強いです。今後もアクセスが伸びると思われます。
文学・芸術系作品/作家は、娯楽系作品に引用・転用・模倣されて一般に流布していくようなところもありますので(マンガ・文藝ストレイドッグスや、以前現代詩の一節を引用した歌詞などがあったように。アニメでも悪の華-ボードレールの詩集名が由来-という作品がありました。曽根富美子「含羞-はじらひ- わが友中原中也」も有名ですね。)、尾崎放哉や自由律俳句が広まるきっかけになると良いですね。
※文学/娯楽の区別は結構あいまいなので、便宜上だと思ってください。
・青穂第1句集がコンスタントに閲覧されているようです。多分、本誌同人の作風の幅は、放哉賞や尾崎放哉のイメージだけで考える作風の幅よりも、かなり広いのではないでしょうか。今月、第2句集が発行されましたので、近いうちに1人1句の形で掲載する予定です。
・個人作家については、飯島翠壺洞、宗左近、清水哲男、河本緑石、家木松郎の記事や句抄が。載せたい作家はまだまだいるのですが、ぼちぼちチョイスして掲載していきますので、ご期待ください。本誌からの転載記事「記憶に残る俳人・俳句」も見ていて楽しいので、こちらもよろしくお願いします。
近頃は長針と短針に足を挟まれます
緞帳ストン首は闇に陳列される
あと一塗りの空から鳥がすり抜けた
ほたる仮縫いの夜をほどく
笑っている人の顔で笑っている
耳穴から溢れる砂時計の波音
映る花にとまり蝶は鏡で飼われる
ハサミが入り薔薇は女の匂いを放つ
なみなみと注がれ舞蝶がすけてくる
井戸の底に落した影が澄んでいる
風ねむれぬ夜は放火魔と通じあい
小鳥を数え終えて密林消えた
蟻が地平線を持ちあげてゆく花野
風がくるくるむけて月がまぶしい
ガラス片の霧雨に人魚とすれちがう
桃が闇を引いて転がり落ちる
金魚ゆらゆら花のひらく匂いがする
月は何色にぬっても嘘になる
絵の具がかわくまで生きていた蝶
夜店の人魚に値札がついている
高田弄山(たかだ・ろうざん)(1956-2013)の句に接しての私の印象は、「不穏で生命力の薄い静寂」。そして、表現力がある作家性の強い作風。絵画もたしなんでいたように見えます。
句については、下記京都泉の会のブログから抄出・引用させていただきました。ありがとうございます。問題があるようでしたら、お知らせください。
この泉の会のブログには、かなりの数の自由律俳人の句抄もあり(野村朱燐洞の句抄もありました。)、ここ数年精力的に更新されていますので読みでがあります。
ぜひ、訪問してみてください。右側スレッドにリンクも貼りました。
(文:久坂夕爾)
第7回 尾崎放哉賞が決定しています。
<一般の部>
尾崎放哉大賞
月を青くして誰もいないふる里 いまきいれ尚夫
春陽堂賞
両手の団栗こぼしながら駆けてくる 宮澤 省子
優秀賞
大人びてゆく液晶のなかの教え子 明 大
墓にまっすぐ見られながら立ち去る 楽遊原
バス停に子を降ろして稲刈機は去る 田畑 剛
背中の淋しさを見られながらおいとまする 久光 良一
秋がこぼれきって葉の先 古関 聰
敢闘賞
空振りする息子をした日もあった 小石 遥也
<高校生の部>
最優秀賞
同じ世界を見るために少し猫背になる 遠藤 涼太
(埼玉県立滑川総合高等学校)
【第七回尾崎放哉賞選者】
自由律俳句結社『青穂』役員:
小山貴子、黒崎溪水、吉多紀彦、平山礼子、高木架京、平岡久美子、三好利幸
受賞、おめでとうございます。
他の入賞句については、尾崎放哉賞のホームページにてご確認ください。
(文:久坂夕爾)
自由律俳句協会主催、「第1回自由律俳句大賞」のお知らせが入ってきました。
詳しい募集要項などは、下記をご覧ください。
青穂51号が発行されました。
青穂本誌での企画記事「記憶に残る俳人・俳句」。
同人各自が紹介する、自由律俳句・俳人を転載します。
・市川一男(1901~?)
人に逢いたくない日の自分の足あたためてやる
さびしさ一つこらえては透明なうろこ一枚はやし
まっくらやみにもつれて糸がひとかたまり
・まつもとかずや(1928~?)
だまってだまって、このいしをあちらへのけるこうい
ちちはつねに、おおきななみだをためている
不況がきびしく、下むいてとぐはさみのむこうに家族
・尾崎善七(1907~1938)
まずしさ軒に夕月一つ火をたく
月の明るさ児を負うてゆく
やなぎゆれる冬あおぞらの子を抱いて纏足のおんな
人間が人間と血を流し今日も空がすっきり澄んでいる
私が戦死した夢であったりして暁の星一つまたたく
・渡野邉朴愁(わたのべぼくしゅう)(1927~2016)
裸いとし人間なんとたくさんの傷あとを持ち
尾骶骨にいつもあるおもい昼月欠けて浮く
地球剥ぐと宙へひらひらいちまいの四季
寒さ音にして湖心さす舟
枯野の嗅覚火にすると春が匂う
・塩地キミヱ(1936~2017)
はじめて踏んだお百度の足を洗う
生きる意味求めて七十九歳暑気中り
丁寧に生きたしるしの固いペンだこ
嫌われてもいい清廉でいたい女の秒針
・佐瀬茶楽(1905~1989)
畑は菜の花にうもれる満月
と、ゆらぎ海は黄金の朝暾
婆がわらうつ音のするしぐれ
おもてへでてうちわの軽さ持っている
子が子をつれてくるお正月
・岡野宵火(おかのしょうか)(1916~1951)
バス満員で下ってしまふと秋の高原を残ってゐる人たち
逢ふてさえをれば、の二人で秋が散って散って
何かひっかかる句(人)、惹かれる句(人)があれば幸いです。
いい企画ですよね。私が注目したのは渡野邉朴愁。
(文:久坂夕爾)